腐ったみかん

適当に書きます

WUG劇場版 青春の影を見たら本当に素晴らしかった

こんばんWUG~

2022年にWUGのアニメを見始めるという謎の行動をしたのだがこれがめちゃくちゃに面白かった。

kenichi1351.hatenablog.com

 

WUGおもしれ~!と一人で呟いていたらワグナーのフォロワーから劇場版を見ろ!と勧められたので3作全て見た。dアニメで見ようとしたら青春の影しかなかったのでU-NEXTを契約して見た。U-NEXTって月額2000円超えと中々お高いのね。

video.unext.jp

 

というわけで劇場版3作のうち一番好きな青春の影についての感想とか。

 

 

 

ラスト10分が好きすぎる!!

 

青春の影はこれに尽きる。あとよっぴーがいつの間にか髪切ってた(しかも作中で特に語られない)

こんな真っすぐなアイドルもの作れるのか~。リアタイで追ってた人は「最高~!!」と感涙した後に「最初からこれやれや!」と思ったりしたんだろうか。

 

ストーリーラインはロコドルが東京行って挫折…からの奮起というとてもシンプルなお話。ストーリーがシンプルな分メンバーだけでなく周り人達にもスポットライトが当たって1時間も満たない上映時間にギュッと魅力がつまっていた。

 

 

青春の影の大きな部分はメインの舞台を仙台から東京へ移した事だろう。舞台を東京に移した事でこの作品の1つのテーマである"リアリティ"は少女達だけでなく周りの大人達にも及んでいくことになる。

どこでもタバコを吸い…松田を馬車馬のように働かせ…しまいには夜逃げする、そんな傍若無人な振る舞いをしていた社長の姿は東京では鳴りを潜め大人として筋を通すために白木に挨拶しに行く。

少女達を番号で呼び…容赦なく首を切り…独裁者のように思えた白木も上の命令には逆らえずセンター交代を指示する事になる。冷酷なる魔人などではなくただの中間管理職なわけだ。

 

極めつけは大田さんだろう。初ライブで誰も見てないのではと不安の中ただ1人アンコールをした(マジで偉い)大田さんはWUGちゃん達にとって紛れもないスーパーヒーローだった。大田さんがいなければWUGちゃん達はアイドルを続けられなかった、といっても言い過ぎではないのでは(ここら辺アニメ版でもちゃんとやればよかったのにね)。

しかし大都会東京のb-sessionという大きな会場ではスーパーヒーロー大田さんの声はWUGちゃん達に届かない。彼もまたヒーローなどではなくその他大勢のただの大人の1人だったのだ。

 

ヒーローが光を失い…悪の親玉がただの飼い犬に成り下がる…そんな中、松田は仙台の時よりもWUGちゃん達に大きな背中をみせることが出来たのではないだろうか。アニメでは流されるままに行動しているように思えたが早坂さんに直談判しにいき、手売りを始め自発的に動くようになる。

そんな松田がバンド時代の友人とお酒を飲むシーンが好きだ。

0話にあたる7人のアイドルではこの友人からのライブの誘いを「仕事が立て込んでて」断るシーンがある。そこではまだアイドルのマネージャーをやることについての迷いや不安があったのか(まだメンバー集め中なので当然といえば当然だが)、友人にアイドルのマネージャーやると告げることはない。

バンドという夢を追いかけている友人に対してアイドルという俗っぽい事をやろうとしている自分に負い目があったのでは…なんていうのは少し考えすぎか。

そんな松田が少し照れながらもアイドルのマネージャーやってると話し、胸ポケットから写真を取り出し「うまく言えないけど俺もこのままじゃいけないって思って…」と酒をあおるシーンが良い。

「可愛いじゃないか」

「そうかぁ?」

なんて何気ない会話に愛がつまっている。

アイドルに魅了されるのはファンだけではない、松田もまたアイドルの紡ぎ出すストーリーに魅了された人間の一人なのだろう。

 

 

変わらないのは早坂さん、神は東京でも神であり続けてくれた。

積極的に手助けはしないけれどピンチになったら颯爽と現れて手を差し伸べる。現代版タキシード仮面はこんな感じなんだろうか(セーラームーン読んだ事ないんだけど)と思ってたら初期案ではタキシードにシルクハットとまさにそのような容貌だったらしい。

www.animatetimes.com

気難しい天才作曲家という難しい役に説得力を持たせるWUGの楽曲は素晴らしい。

 

 

大人ですら東京に飲み込まれていくのだから当然メンバーも例外ではない。お約束と言えばお約束なのだが一度昇ったアイドルが落ちていく姿はつらいもので…上映時間の半分くらいは苦しい時間が続いた。

それでも見続けられるのはメンバーが前向きだからだろう。ただ1人Cクラスになった藍理は「このままではWUGにとって良くない」と努力をし、アニメ中盤までどこか距離のあったまゆしぃは仙台に帰ろうか悩んだ時に「WUGらしさってなんだろうね」とメンバーに光の方向を指し示す。

「これからすっごく辛い事があった時あの頃を乗り越えられたんだから」と語る少女達を見るとあの悪名高いスパセン営業も意味があったのでは…と少し思う。

 

大きな挫折を経験し、悩み、もがきながらタチアガレ!をアカペラで歌い奮起するシーンは素晴らしく、そこから早坂さんが登場するラスト10分はたまらない。

 

「いっぱい悩んだ日々は けっして無駄じゃないから」

「笑顔だけは今日もチャージして 不安とぶつかる」

彼女たちの現状とリンクした少女交響曲のダンスシーンからの美しい旋律で始まるエンドロールは本当に好きで何度もリピートして見ている。

昨今のアイドルアニメとは違い3DCGを使わないダンスシーンは新鮮で見どころ満点。

 

 

青春の影には挫折と奮起はあるが栄光はない、大半が苦しい時間だ。それでも前後篇という枠を超えて1本の映画としてとても好きな映画であった。

 

おわりで~す。